Festival Report フェスティバル レポート 2015

ボリス ブロンスキー7変化

ボリスブロンスキーは仮面をかぶったクラウン。
かぶる仮面によっていろんな人物に変化する。
そのバリエーションは千差万別で、サラリーマン、バレリーナ、キャスター、音楽家なんにでも変化する。
すべてが計算された質の高い笑いを提供する。
ボリスは日本の地を踏むのははじめてだが、長年日本に来ることをあこがれていた。
「日本のお客さんはとても優しい。」と語るボリスは日本への造詣も深く、能や神道についても詳しい。
「すべてのものには魂があるという日本の神道の考えに共感している。」
と語る彼のかぶる仮面は彼のお手製。
「僕の仮面は自分を写す鏡である。」
というかれの仮面にはどんな魂がやどっているのだろうか。
それはご自身の目で確認してほしい。







Y.K.Kobayashi

2015フェスティバルレポート / 2015アーティスト ワールドカップ部門
2015/10/31 08:18 PM

「いつも新しいことに挑戦し続けたい」 アイム モラレス

ステージが始まったとたん、お経のような音声。

・・・なんだ?どこから聞こえるのだろう?

頭の中はクエスチョンマークの嵐。
思わず周囲を見回して音声の発生元を探す。



すると・・・

その声はステージ上にいる
演技中のアーティストから発せられている!
・・・ではないか。

なにか歌っているようだ。
不思議な声に思わず引き込まれる。

するとおもむろに足元の巨大な輪を手にする。
パンフレットによればそれは

「シルホイール」

という名前らしい。

アーティスト・アイムモラレス。
大道芸のジャンルの中でも珍しい
大きなホイールを使った演技だ。
それは確かに観客の目を釘付けにするほど
すばらしい演技であるにもかかわらず、
観ているものの目には、彼が演技ではなく
心よりシルホイールと戯れるのを楽しむ
かのようにしか見えない。



やがてシルホイールは、彼の体の一部
であるかのように自在に彼に操られ、
彼とシルホイールは完全に一体となって
超高速で回転する別の生き物と化している。

そのスピード感、バランス感覚に圧倒された
観客の心が高揚するにつれ、
彼とシルホイールの動きも速くなり、
私たち観客までシルホイールと戯れるような
錯覚に陥るのが不思議だ。
そう、同じ時間を共有した私たち観客は、
まさに彼とおなじ「遊び」を楽しんでいるのだ。
そんなパフォーマンスを見られるなんて。
何とラッキーなのだろう!



しかし彼は言う。

「静岡の観客はとてもノリがよい(超意訳)。
アーティストにとってそのノリのよさは
とても、とても重要なこと。
だから自分もとても楽しく、気持ちよく
演技できる。温かい静岡の観客に感謝する」

つまり。私たち観客はただ見ているだけではない。
アーティストの演技をさらに素晴らしいものに
するためにとても重要な役割を果たしている
・・・らしい。

信じられないことだが、それがもし本当なら、
観客冥利に尽きる嬉しいことだ。
しかし、私たち観客がそういう重要な役割を
果たすことができるのはやはり、
アイムモラレスのパフォーマンスが、
ただひとえに魅力的すぎるからである。

断言する。
素晴らしきこのアーティストは、その演技で
ただの観客を瞬時にして一流の共演者に
してしまうだけの「なにか」を持っている。

そんな彼の口癖はこうだ。

「いつも新しいことに挑戦しつづけている。
これからも挑戦し続けたい」

なんということだ!
彼はこれからどれだけ進化するのだろうか?
想像がつかないが、大いに期待したいところだ。




(富士山なすび)

2015フェスティバルレポート / 2015アーティスト ワールドカップ部門
2015/10/31 06:01 PM

天使か悪魔か?/ジョーダン マックナイト

美少女が小さな箱の中に入っていく…。
ええ!?
信じられない光景に思わず声をあげてしまう。
にこやかな笑顔で、まるで何事もないように普通に出てくると、手足だけでなく、
腰も背中もしなやかに折れていく。
音楽に合わせて自由自在に体を動かす姿は、同じ人間とは思えないほど。
次から次へと繰り出していく動きは、曲に合わせて優雅に舞っているよう。
一つ一つの動きにどの観客の目も釘付けになる。

まだ17歳の少女なのに妖艶すぎるジョーダン マックナイト。
それもそのはず、13歳の時にシルク・ド・ソレイユのYou Tubeを見て、
自分の柔軟力が新体操よりも向いていると転向。
15歳から世界を回り、高校も16歳で卒業、毎日6~8時間の練習。
自己管理も自分で行っている徹底ぶりのべジタリアン。
この体の柔らかさは、生まれつきだとか。(家族の中で彼女だけ特別に体が柔らかいらしい)
でも、それプラス努力を重ねる姿は、見習いたいほど。

こんなしっかりした彼女も観客の女の子と弓反りしたり、柔軟力を比べたり一緒にパフ
ォーマンスをしている時は、ごく普通のティーンエイジャー。
とびっきり可愛い笑顔は、心癒される天使のよう。

こんな二面性を持つ彼女の演技に心奪われにいって下さい。

momo




photo by Inokuma









2015フェスティバルレポート / 2015アーティスト ワールドカップ部門
2015/10/31 05:24 PM

天女と少女/シャルロット ドゥ ラ ブロテク

女性はいろんな顔を持っています。
そのなかでももっとも女性らしさがあらわれるのは淑やかさと無邪気さではないでしょうか。
シャルロットは7分に凝縮されたエアリアルの中でその淑やかさと無邪気さを表現します。


そのために彼女が使うのは天から伸びる何本ものロープ。
世界でこのロープを使って演技をするのは彼女だけ!そんなパフォーマンスが静岡で観れるんです!

この何本ものロープを使ったパフォーマンスはベルギーのサーカス学校に通っていたころに学んだ
アクロバット、ポールダンス、ハンドスタンドを組み合わせてシャルロットが考えたもの。


雲の切れ間から顔をのぞかせる天女、友人と無邪気に戯れる少女。
ロープを使った表現の可能性は無限大です。
インタビューでこのロープについて尋ねると「日本のうどんみたいでしょ?」とシャーロット。
淑やかで美しいだけでなく、そんな無邪気な一面も持つシャルロットのパフォーマンスを観てみませんか?








訳:ありがとう。ありがとう!!!静岡は美しい人がいっぱいで美しい街です! シャルロット ドゥ ラ ブロテク

Y.K.Kobayashi

2015フェスティバルレポート / 2015アーティスト ワールドカップ部門
2015/10/31 05:16 PM

この2人の前に、重力は存在しない/Andrzej & Tomek (アンジェイ & トメク)

ポーランド出身のマッチョな2人組。
シックスパックむき出しの上半身と鍛え上げられた上腕二等筋はどんな力技を見せてくれるのか期待しがちだが、ベールに隠された足腰の強さにも着目してほしい。
強さ、脅威のバランス、そしてゆるやかな動きが無重力の空間を作り出している!

photo by K.Umeno

背の高いAndrzejがもう一人のTomekの体を腕一本で持ち上げたり、お互いのうなじと肩を支点にして上下対象にバランスのみでくっついている姿はまさに圧巻!普通なら上の人間が真っ逆さまに脳天から地面に落ちてしまう!

このようなパフォーマンスを生み出しているのは日々の鍛錬はもちろんのこと、お互いへの信頼関係が欠かせない。2人の出会いはアクロバットスポーツクラブ。それからシアター等で公演するようになり20年以上という長きに渡ってコンビを組んでいる。彼らの信頼関係の証の1つとして、演技の継ぎ目に合図や掛け声は存在しないのだ。まさに阿吽の呼吸、真摯にパフォーマンスを追及してきた姿がうかがえる。
一方で、「お互い尊敬する部分はありますか?」という記者の質問に、「無いよ」と答えるAndrzej(笑)。演技中とは打って変わってお茶目な一面も見せてくれた。

最後に彼らからのメッセージ「僕らの演技にクライマックスは無い。すべてに注目してほしい!」彼らが作り出す世界は、種も仕掛けも存在しない。使っているのは己の肉体のみ!ぜひ無重力という異空間を体感してください!!

(たつけん)

2015フェスティバルレポート / 2015アーティスト ワールドカップ部門
2015/10/31 04:48 PM

本当にSuperなハイドラゴン!/ハイドラゴン

昨年に続き、ワールドカップ出場のハイドラゴン。

一見親子と見間違えるほど、年齢の違うバロンタンとギュス(60歳)。
言葉は通じないけれど、いつの間にか、私たちを笑顔にさせてくれる。
子どもたちも、とってもうれしそう、まるで、魔法にかかったみたいに。

昨年も日本の歌を歌ってくれたけれど、今年は2曲も披露してくれた。
1曲目の「海」は、思わずみんなで合唱してしまうほど!ギュスは、相変わらず乗せるのがうまい。

彼は、元大工で、24歳の時に大工を辞めて、ダンスと音楽を教えるようになった。
コンビを組むバロンタンは、8歳の時に彼の歌を聴き、それ以来ずっとギュスと一緒にパフォーマンスをしたいと思っていた。
そして、夢が叶ったのは、3年前!
30年も願い続けてきたけれど、あきらめたことは一度もなかったという。「どうしてそんなことを聞くの?」と反対に聞かれてしまった。
そんなバロンタンも41歳。なんと、今もサーカススクールで学んでいる。19年になるそうだ。

2人のパフォーマンスを一体何と言ったらいいのだろう。
初めはパントマイムで笑わせて、そして見事なエアリアルへと進む。
裸足で、命綱も身に着けず、ロープ1本でしなやかな動きを見せてくれる。
「怖い」と思うのに、見るのをやめられない。
そして、そのそばでは、ギュスの美しい歌声とアコーディオンが響いている。

最後に新曲を披露してくれた。
バロンタンは2回でこの歌を覚えてしまったそう。

私には、彼らが、芸術的なセンスを全て持ち合わせている2人に見えた。(RAN)(Photo by H.Shinohara)

2015フェスティバルレポート / 2015アーティスト ワールドカップ部門
2015/10/31 02:23 PM
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